「なんだか元気がない」「目を合わせてくれない」「いつもよりよく吠える」──そんな愛犬の変化に、ふと不安を感じたことはありませんか?
犬も人間と同じように、日常の中でさまざまなストレスを感じています。ただし、犬は言葉で「つらいよ」「いやだな」と伝えることができないため、行動やしぐさで私たちにサインを送ってくれているのです。
たとえば、頻繁なあくびや体の一部をしきりに舐める行動は、緊張や不安を感じているときに見られます。その他にも、耳が後ろに倒れていたり、しっぽを巻き込んでいたり、目をそらしたりといった変化があるときは、愛犬がストレスを感じている可能性があります。
これらは一見些細な変化に思えるかもしれませんが、犬なりの「助けて」のサインであることも多いのです。
また、「問題行動」と呼ばれるような行為──たとえば、家具をかじる、無駄吠えが増える、トイレの失敗が頻発するなど──も、実はストレスによる心の乱れが原因のことがあります。
そうした行動に対して、ただ叱るのではなく、「なにか原因があるのかな?」と立ち止まって考えてあげることが、飼い主としてとても大切です。
環境の変化(引っ越しや模様替え、大きな音のする電化製品の使用など)、留守番が長くなった、家族の雰囲気の変化など、些細なことでも犬にとっては大きな出来事になり得ます。
私たちにできるのは、「いつもと違う」サインに気づいてあげることです。
食事の量、食べ方、眠り方、遊びの反応、散歩中の態度など、日々の生活をよく観察していると、小さな変化に気づくことができます。
「最近、ごはんを残すようになった」「外に出てもはしゃがない」「目を見てくれない」──そんな時は、何かが心に引っかかっている証拠かもしれません。
では、どうすれば犬のストレスを減らせるのでしょうか?
まずは、犬にとって安心できる「落ち着ける空間」を整えることが基本です。騒がしいテレビの音を避けたり、家族が頻繁に出入りしない静かな部屋を確保してあげたり、お気に入りの毛布やベッドを置くなど、犬が安心して休める環境を用意することが大切です。
また、飼い主とのふれあいや遊びの時間を増やすことも有効です。
新しいおもちゃで遊んだり、散歩コースを変えて気分転換をさせたりすることで、犬の心はリフレッシュされます。
特に、何かに集中できるような遊び(知育玩具やにおい探し遊びなど)は、不安やストレスの軽減に役立ちます。
ただし、こうした工夫をしても行動の変化が続いたり、食欲不振や下痢、嘔吐といった体調の変化が見られる場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。
獣医師が言うには、「行動の変化は病気の初期サインとして表れることもある」とのことです。
ストレスと決めつけずに、まずは健康状態を確認することが大切ですね。
最後にお伝えしたいのは、犬の一番の理解者になれるのは、毎日そばにいる飼い主だけだということです。
「なんか変だな」と感じたときの小さな気づきが、愛犬の心の健康を守る大きなカギになります。
犬のしぐさや表情にやさしく寄り添うまなざしが、なによりの安心になることを、どうか忘れないでください。