「留守番をさせると吠え続ける」「外出から戻ると家の中がぐちゃぐちゃに」「出かけようとすると足元から離れない」──
こうした行動に悩まれている飼い主さんは、決して少なくありません。
それは、もしかしたら**“分離不安”**かもしれません。
分離不安とは、飼い主さんと離れることに強い不安を感じてしまう状態のこと。
不安が大きくなると、吠えたり、破壊行動をしたり、トイレの失敗を繰り返したりすることもあります。
でも安心してください。分離不安は、少しずつ時間をかけて対処していくことで、きちんと改善が期待できるものです。
まず大切なのは、「心の準備」を育てること
分離不安を抱える犬は、飼い主さんが姿を消すことにとても敏感です。
ほんの数分離れるだけでも、心細くなってパニックになってしまうことも。
そんな子には、まず**「ひとりでも大丈夫なんだ」と少しずつ思ってもらうこと**が大切です。
たとえば、数秒間だけ別の部屋に行ってすぐ戻る、という練習から始めてみましょう。
そして、戻ってきたときに大げさに構わず、あくまで自然に接します。
「いつも通り戻ってくるんだね」と犬が学べるよう、繰り返すことがポイントです。
出かけるときは“そっと”が基本
犬が不安を感じやすいのは、「出かける直前の空気感」です。
「じゃあ行ってくるね!」「いい子で待っててね」と声をかけすぎたり、バタバタと支度をしたりすると、
犬は「またひとりになる!」と緊張を高めてしまいます。
できれば、静かに、さりげなく出かける習慣をつけてみましょう。
玄関でしばらく過ごすふりをしたり、外出の直前に遊んでエネルギーを発散させておくと、お留守番が少しラクになることもあります。
不在時の「安心材料」を用意する
ひとりで過ごす時間を安心して乗り越えるには、犬にとって心強い“お守り”のような存在があると良いです。
たとえば、飼い主さんのにおいがついたタオルや、普段から遊んでいるおもちゃなど。
また、知育玩具におやつを仕込んでおいて、ひとりで夢中になれる時間をつくるのも有効です。
犬が夢中になっているうちに出かけるようにすると、“いない=つらい”という結びつきが薄れていきます。
戻ったときの接し方も重要です
ついついやってしまいがちなのが、「寂しかったね!」「いい子にしてた?」と帰宅時に大騒ぎしてしまうこと。
でも実はこれ、犬にとっては「やっぱり不安な時間だった」と印象づけてしまうことがあるのです。
帰宅後は、最初はあえて淡々と過ごし、犬が落ち着いたらゆっくりとスキンシップをとるようにしましょう。
「戻ってきても特別なことではない」と犬が感じられるようになると、留守番への不安も和らいでいきます。
頑張りすぎず、少しずつ「できたね」を積み重ねて
分離不安の対処は、焦らず、ゆっくりが基本です。
「今日は1分離れられた」「今日は吠えなかった」
そんな小さな成功体験を大切にしていくことで、犬の心は少しずつ落ち着いていきます。
また、どうしても困ったときには、獣医師やドッグトレーナーに相談するのもとても有効です。
獣医師が言うには、「不安の程度が強い場合は、行動療法や必要に応じて薬のサポートも検討できる」とのこと。
ひとりで抱え込まずに、頼れるプロと一緒に進めていくことで、飼い主さんも安心できますね。
愛犬が寂しさを感じている姿を見るのは、とても胸が痛いものです。
でも、あなたが寄り添ってあげることで、犬は少しずつ安心を取り戻していけます。
大切なのは、「ひとりの時間も、大丈夫だよ」とやさしく伝えていくこと。
不安を少しずつ希望に変えていけるのは、毎日そばにいるあなたの愛情です。