朝、寝床から起き上がって水を飲みに行く。ごはんを食べて、少し歩いて、トイレを済ませて、また横になる。シニア犬の1日は、そんな小さな動きの積み重ねでできています。
今はまだ、どれも自分でできている。でも、この先どこかで手助けが必要になるかもしれない。そう思い始めると、何を用意しておけばいいのか気になりますよね。
うちのラニも13歳のとき、ある日突然、前脚を出しにくくなりました。立ち止まったまま動けなくなった姿を前に、何もできない自分が悔しかった。
この記事では、介護の準備を「もののリスト」ではなく、愛犬の1日の場面ごとに考えてみます。
体の変化は、暮らしのあちこちに出てくる
年をとった犬の体の変化は、ひとつの場面だけに出るとは限りません。たとえば、こんなことが言われています。
- フローリングやタイルのような滑りやすい床では、立ち上がりや歩くことがしにくくなることが多いです
- ソファや車への飛び乗り、数段の階段がつらくなることも多いと言われています
- 寝ている時間が長くなると、床ずれのリスクが出てきます
- 寒さを感じやすくなることがあります
- 目や耳が衰えると、暗いところで戸惑うことがあります
- トイレの失敗が増えることもあります
床の滑りひとつとっても、関わるのは歩くときだけではありません。床が滑ったり食器の位置が合っていなかったりして食べにくくなり、それが食欲がないように見える場合もあると言われています。
そこでこの記事では、「何を買うか」より先に、「うちの子は1日のどの場面で手間取りそうか」から考えていきます。
もうひとつ、介護は飼い主さんにとって、体力的にも気持ちのうえでも負担になりやすいと言われています。頑張りすぎず、市販品と手作り、家にあるものを組み合わせて負担を減らす、という考え方もあります。最初から全部を新しくそろえなくても大丈夫です。
今日、愛犬の1日をなぞりながら見てみること
愛犬が過ごしている順番に、家の中を一度ぐるっと見回してみてください。
- 寝床にすきま風は当たっていないか。クッションが薄くなっていないか
- 寝床から水・ごはん・トイレまでの通り道は、滑りやすい床になっていないか
- 食器や水入れを床に直接置いていないか
- ソファ、玄関の段差、車の乗り降りなど、飛び乗り・飛び降りが必要な場所はどこか
- 爪や足裏の毛が伸びていないか
- 夜、寝床やトイレのまわりが真っ暗になっていないか
場面ごとに用意しておきたいもの
起きる・休む
寝床は、クッション性があって体圧を分散できるものが勧められています。床ずれに配慮したものを選ぶ、という考え方です。あわせて、洗えるものや防水カバー付きのものにしておくと、粗相があったときに扱いやすくなります。
置き場所は、すきま風の当たらない暖かいところに。ペット用の暖房器具を使う場合は、熱くなりすぎや低温やけどに気をつけてください。人用のヒートパッドは、犬には熱くなりすぎることがあるそうです。
食べる・飲む
食器や水入れを台にのせて高さを上げると、首や体をかがめる負担を減らせる場合があります。高さは「肩の高さか少し低め」という目安もあります。台は、倒れにくい安定したものを選びます。
なお、食欲そのものが気になるときは、環境のせいと決めつけず、かかりつけの獣医師に相談してください。
歩く・移動する
よく寝る場所や通り道に、滑り止めのあるラグやマット、ヨガマットを敷く工夫があります。敷いた最初のうちは、ずれたりめくれたりしないか見守ってあげてください。
爪や足裏の毛を短く保つと、肉球で踏ん張りやすくなります。爪切りが難しいときは、動物病院に相談してみてください。
ソファや車の乗り降りには、スロープやペット用ステップを使う方法があります。傾斜がゆるく、幅が広く、滑りにくいものを選びます。
立ち上がりやトイレへの移動を手伝うときには、介護用ハーネスや補助ベルトが使われます。家にあるバスタオルをお腹の下に通して支える方法もあります。ハーネスの種類やサイズは、獣医師に相談しておくと安心です。中型〜大型の子だと、支える側の体の負担も大きくなります。
散歩は、1回の距離を短めにして回数を増やす方法もあります。自分で歩くのが難しくなってからも、カートやワゴンで外に出る方法があります。その場合は、飛び出しや転落をしないよう固定できるものを選んでください。
トイレ
トイレシートや室内トイレ、洗えるシーツ、必要に応じて犬用オムツなどを用意しておく方法があります。粗相があっても、叱らないであげてください。
失禁があっても、自己判断で飲み水を減らさないよう勧められています。トイレの失敗が増えた、飲む量が変わった気がする。そう感じたら、水は減らさずに、まずかかりつけの獣医師に相談してください。
夜
寝床、食事の場所、トイレの近くに、人感センサー式のライトなどの常夜灯を置く工夫があります。
気になる変化があったら
ここで挙げたものは、暮らしを整えるための道具です。体の状態を診てもらうことの代わりにはなりません。
歩き方、食べ方、トイレの様子など、「年のせいかな」と思うような変化でも、決めつけずに、気になることがあればかかりつけの獣医師に相談してみてください。
おわりに
準備といっても、今日できるのは「家の中を1周見てみる」ことくらいかもしれません。そこで気づいた場面から、ひとつずつ考えていけば十分だと私は思っています。
同じことで悩んでいる方の参考になればうれしいです。
うちの子の場合はどうだろう、どのサイズが合うのだろう——
そんなふうに迷われたときは、お気軽にご相談ください。
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※本記事は一般的な情報をまとめたもので、診断や治療を目的としたものではありません。
気になる症状がある場合は、かかりつけの獣医師にご相談ください。
※歩けるくんは治療を目的とした商品ではありません。感じ方には個体差があります。
